削岩機(ロックドリル)とは?ブレーカーとの違いや、種類・選び方について解説
削岩機(ロックドリル)は、岩石を割るための建設機械ですが、ブレーカーやハンマードリルとは用途に違いがあります。
この記事では、削岩機とブレーカー、ハンマードリルとの違いや、削岩機の種類、選び方について解説します。
削岩機のさまざまな種類や特徴を知ることで、現場に最適な削岩機が見つかるようになります。
目次
削岩機(ロックドリル)とは
削岩機(読み方:さくがんき)とは、岩石に穴をあけたり、割ったりする建設機械です。
英語では、ロックドリル(Rock Drill)、ドリフタードリル(Drifter Drill)と呼ばれ、トンネル工事や土木工事の現場で使用されています。
削岩機とブレーカー、ハンマードリルの違い
削岩機とブレーカーは、機械の用途に違いがあります。
削岩機は自然石などの岩石を割るために使います。
一方で、ブレーカーやハンマードリルは、コンクリートやアスファルトを壊すために使います。
建機 | 使用対象 | 使用目的 | 機構 | 主な動力 |
---|---|---|---|---|
削岩機 | 自然石 | 岩石の削孔 | 打撃+回転 | 油圧式 エンジン式 エア式 |
ブレーカー | コンクリート アスファルト | はつり | 打撃 | 油圧式 エンジン式 エア式 電動式 |
ハンマードリル | コンクリート アスファルト | はつり | 打撃+回転 | 油圧式 エンジン式 エア式 電動式 |
「削岩機とブレーカーは同じ」という認識の方もいますが、このように削岩機とブレーカーには使用する対象や用途、機構に違いがあります。
ブレーカーやハンマードリルは、コンクリートなどの二次製品を壊すことはできますが、岩石などの自然石を壊すことには向いていません。
削岩機の使い方
建設工事などで地面を掘り進めていくと、人が持ち運びできない大きさの岩石が埋まっていることがあります。
このような岩石は、細かく割ることで運搬することができます。
大きな石の割り方にはさまざまな方法がありますが、基本的には以下のような手順で、岩石に穴を開けて細かく割ります。
- 削岩機を使って、岩石に穴を開ける。
- 開けた穴にくさびを打ち込む。
- 岩石に亀裂が入って、岩石が割れる。
1トンを超えるような大きな岩石の場合は、人の力では割ることが難しいので、バックホーなどの重機を使って岩石を割ることもあります。
ブレーカーでのコンクリートの斫り(はつり)方
コンクリートを壊す際は、一般的に以下のようにブレーカーで打撃を与えて壊します。
ブレーカーは、解体工事などで主にコンクリートを壊す際に使われます。
打撃でコンクリートやアスファルトを壊す(斫る)ことはできますが、硬い自然石を割る作業には向いていません。
削岩機の構造
削岩機は、
- 機械本体
- ロッド
- ビット
の3パーツで構成されています。
機械本体は、空圧や油圧で駆動するタイプなどがあります。
ロッドの先端には超硬合金チップが付いたビットが付いており、回転と打撃によって岩石を削孔します。
削岩機の種類や選び方
ハンドタイプ(手持ち式)と搭載型
削岩機には、
- 両手で扱うコンパクトなもの(ハンドタイプ)
- 重機に搭載するもの(搭載型)
の2種類があります。
ハンドタイプの削岩機は、作業者が持ち運ぶことができる小型サイズの機械です。
山間部などの重機が立ち入れない場所や、災害時、掘削時に出てきた岩石を割る際に使用されます。
一方で搭載型の削岩機は、バックホーやクローラ(キャタピラー)付きの重機に搭載されて使用される大型の機械です。
地中深くを掘削する採掘現場や地質調査、トンネルの掘削現場などで使用されます。
3つの作動方式と特徴
削岩機の作動方式は
- 空圧式(エア式)
- 油圧式
- エンジン式
の3つの方式があります。
作動方式 | エア式 | 油圧式 | エンジン式 |
---|---|---|---|
パワー | ◎ | ◎ | △ |
耐久性 | ◯ | ◎ | ◯ |
静音性 | △ | ◎ | △ |
保守性 | ◎ | ◯ | △ |
価格 | ◎ | △ | △ |
動力源 | 大きい | 小さい | 不要 |
その他 | 水中使用可 | 水中使用可 | コードレス |
空圧式(エア式)は動力源が大きめだが価格が安い
空圧式(エア式)の削岩機は、空気圧を利用して作動します。
価格が比較的安く、小型から大型まで様々なサイズがあり、中には高い出力のものもあります。
油圧式は価格は高めだが高出力で安定している
油圧式の削岩機は、エア式に比べて温度変化に強く、寒冷地でも安定して作動します。
値段がやや高めですが、出力が高く、振動も少なくて扱いやすいのが特徴です。
エンジン式はコードレスに使える
エンジン式の削岩機は、ガソリンを燃焼させた時に生まれる動力で作動します。
最大の特徴は、油圧やエア式では不可能なコードレスな作業ができることです。
重機が入れない狭い場所や、動力源が確保しにくい山間部などで使用することができます。
用途によってビットを変更する
削岩機の先端には、ビットやチゼルと呼ばれる先端工具を取り付けます。
先端の形状により、破砕に適したもの、穴開けに適したものなどがあります。
使用現場・目的別のおすすめ削岩機
登山道や災害時にはエンジン式の小型削岩機
重機が立ち入ることができない登山道や、災害時など緊急の場合には、エンジン式の小型削岩機がおすすめです。
コンパクトで動力が不要なので、様々な場所で使うことができます。
丸善工業の携帯用エンジン削岩機(MM-78)は
- 険しい登山道に鉄のポールを立てる
- 崖崩れが起きた現場で、内部カメラを入れるための穴を開ける
など、様々な用途で使用されています。
ハイパーレスキュー隊などでも使用されており、過去には1959年の伊勢湾台風時の災害救助で活躍した実績もあります。
回転させず「打撃のみ」に切り替えることができるため、ロックドリルとしてだけでなくブレーカとしても使用することができます。
トンネル工事や採掘現場では搭載型の削岩機
トンネル工事や採掘現場などの大規模な削孔が必要な場所では、搭載型の削岩機を使用します。
トンネル掘削現場などでは、発破用火薬を装填する穴を開けるために削岩機が使われます。
自走式のクローラドリルなどの専用重機ならば、少ない労力でスピーディに穴を開けることができ、効率的な作業ができます。
水中使用なら油圧式の削岩機
油圧式の削岩機は、外部エアーを用いれば水中でも安定して作動させることができます。
丸善工業のMHD-20Bは、低騒音、低粉塵で作動する油圧式ロックドリルです。
水中でも安定して削孔作業を行うことができるため
- 海底ケーブルを固定するための杭打ち
- 埠頭と船舶のクッションとなるタイヤの固定
などの用途で活躍している実績があります。
地上であれば、MHD-20Bはエアーコンプレッサーを内蔵しているので、外部エアーを必要としません。
※コンプレッサーを用意する必要がない、油圧ユニットのみで作動する世界で唯一のロックドリルです。
ドリルロッドの回転数は3段階に切り替えることができ、軟らかい岩から硬い岩まで、様々な削孔作業に対応しています。
打撃のみに切り替えることもできるため、ブレーカーとしても使うことができます。
まとめ
- 削岩機には手持ち式や搭載型、油圧式やエア式など様々な種類がある
- 重機が入れない場所や災害時には、エンジン式の削岩機が活躍する
- 水中、寒冷地、騒音を出せない住宅地などでは、油圧式の削岩機が活躍する
削岩機には様々な種類があるので、用途や使用現場、予算に応じて最適なものを選びましょう。
丸善工業では、油圧製品を中心に、他にも様々な建設機械に関する情報を発信しています。
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