水中ポンプとは?仕組みや種類、業務用と家庭用の違いについて解説
水中ポンプは、液体を揚水・移送するために使われるポンプです。
建設現場などで使われる業務用ポンプや、水槽の水換えで使われる家庭用ポンプなど、様々な種類があります。
この記事では、水中ポンプの仕組みや種類、業務用と家庭用の能力の違いや、使い方について解説します。
それぞれの特徴をおさえて、用途や目的にあった水中ポンプを選びましょう。
目次
水中ポンプとは?役割や特徴ついて
水中ポンプとは、水やその他の液体を揚水・移送するために、ポンプ本体を水中に沈めて使用するポンプです。
ポンプ本体が水中にあるため、呼び水が不要であるという特徴があります。
このため、下記のような様々な場面で利用されています。
- 工事現場での泥水や汚水の排水
- 畑での散水、畜産業での汚物処理
- 家庭用水槽の水換え
水中ポンプの構造
水中ポンプは、主に
- 水を吸い込む吸水口
- 水が吐き出される吐出口
- 動力となる部分
の3部分で構成されています。
水中ポンプが水を引き揚げる仕組み
以下では一般的な渦巻き式の水中ポンプの特徴について解説します。
まず、水中ポンプを稼働させると、インペラと呼ばれる羽根車が回転します。
すると、インペラの回転によってポンプ内を回転する水流ができます。
インペラによって回転している水は、遠心力によってポンプの吐出口から勢いよく吐き出され、
水が引き揚げられます。
【目的別】水中ポンプの種類や用途
小型の家庭用水中ポンプ|水槽の水換えや風呂水の再利用に
観賞魚の水槽の水換えや、畑や植物への水やりなど、家庭用で使う場合は小型の水中ポンプがおすすめです。
他にも、井戸水の揚水や、池の水の入れ替えなど、様々な用途で使用できます。
基本的に電動式が多く、濁りのない水(清水)での使用を前提として作られています。
大型の業務用水中ポンプ|汚水でも使える
大型の業務用水中ポンプは、出力が高く、大量の水を短時間に移送することができます。
泥水や汚水を吸引できるタイプもあり、家畜の汚物処理などの畜産業、土木工事の汚水排水などの建設業で使われています。
他にも、畑の灌水や田んぼの湛水などの農業用、ビルジ排水や養殖場の排水などの漁業用でも活用され、様々な産業を支えています。
底水用ポンプ|残水処理や水抜きに
通常の水中ポンプは、一定の水位がないと水を引き揚げることができません。
水位が低い場所でも水の汲み揚げができるのが、底水用ポンプです。
水位がポンプの底部より数mmあれば揚水でき、土木工事での残水処理に使われています。
水中ポンプの選び方
水中ポンプには様々な種類があるため、用途に合わせて最適なポンプを選ぶことが重要です。
ポンプを選ぶ時に、チェックすべきポイントについてお伝えします。
対応する液体(清水、泥水、汚水、海水など)
水中ポンプによって、対応できない液体があります。
通常の水中ポンプは、清水(固形物を含まない水)での使用を前提としています。
しかし、泥水や畜産の汚物などの汚水で使用する場合は、詰まりによる故障を防ぐために汚水用ポンプを使う必要があります。
詰まることが想定される異物を、小さく砕いてから吸い上げるポンプや、そのまま吸い上げられるポンプ等があります。
また、海水などの腐食性のある液体で使う場合は、防食対策されたポンプを選ぶ必要があります。
水中ポンプの能力(全揚程、吐出量)
水中ポンプの能力は
- 全揚程
- 吐出量
の2つの値のセット(性能曲線)で示されます。
性能曲線は以下のように右下がりの曲線になります。
全揚程
ポンプが理論的に達成できる最大の揚程(高さ)を「全揚程」といいます。
なお、ポンプが実際に達成できる揚程を「実揚程」といい、接続管、流量などの影響を受けます。
一般的にm(メートル)の単位が使われ、全揚程が高くなるほど吐出量が少なくなります。
吐出量
ポンプが一定時間に吐き出す水量を「吐出量」と言います。
一般的にm3/minの単位が使われ、揚程が低くなれば、吐出量が多くなります。
動力源の違い(電動式・油圧式・フレキ式)
水中ポンプは、電動式・油圧式・フレキ式の3タイプがあります。
電動式水中ポンプ
最もよく使われているのが、電動式の水中ポンプです。
豊富な製品ラインナップがあるため、様々なニーズに合わせたポンプが容易に見つかります。
使用する電源は
- 100Vの単相電源(家庭用の2口コンセント)
- 200Vの三相電源(業務用の3口コンセント)
があるので、購入前にご確認ください。
油圧式水中ポンプ
運転には油圧ユニットが必要ですが、他の油圧機器にも使用可能なため、作業内容によっては全体の必要機器をコンパクトにまとめることができます。
さらに、バックホーなどの重機を動力源とすることも出来るため、現場に使用可能な重機があれば、別途動力源を持ち運ぶ必要がありません。
フレキ式水中ポンプ
フレキ式水中ポンプは、陸上に設置したエンジンからフレキシブルシャフトを介して動力を伝達して使用するポンプです。
この方式は、油漏れや漏電のリスクがないという利点があります。
加えて、同じ出力で比較した場合のコストパフォーマンスに優れています。
水中ポンプの使用上の注意事項や故障の原因
清水用を泥水で使うと詰まりの原因に
清水用の水中ポンプは、泥水で使うと詰まりの原因になります。
そのため、ポンプ内部に泥が沈殿してしまうのを防ぐ機構を持ったポンプがあります。
使用環境にあった水中ポンプを選定してください。
水位が低いとエア噛みの原因に
エア噛みとは、ポンプの中に空気が入り込み、ポンプが空回転することです。
水位が低い状態で使用すると空気を吸い込んでしまい、ポンプの能力が低下します。
残水処理には低水用ポンプを使うなどして、エア噛みを防ぎましょう。
油圧式の水中ポンプなら丸善工業のPHシリーズ
丸善工業の水中ポンプ(PH-300)は、3インチの大口径なので、強力な揚水・排水ができます。油圧駆動なので耐久性に優れ、軽量でコンパクト。
工事施工時の湧水対策などにぴったりな水中ポンプです。
<詳細はこちら>
3インチ油圧水中ポンプ / PH-300 | 丸善工業株式会社
また、大型の油圧式水中ポンプ(PH-800)は、8インチの大口径で大量の排水ができます。
油圧ユニットではなくバックホーの油圧も利用することができるため、発電機が要らず、足場の悪い現場でもバックホーと共に移動ができます。
護岸工事の排水作業や、水害時の緊急排水などにぴったりの水中ポンプです。
8インチ油圧水中ポンプ / PH-800 | 丸善工業株式会社
丸善工業では、油圧製品を中心に、他にも様々な建設機械に関する情報を発信しています。
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