油圧ショベル搭載型の草刈機|選ぶ際のポイントや種類を解説
広範囲の草刈や雑木林などの草刈は、人の手で行うと重労働ですし、危険が伴います。
油圧ショベル(バックホー、ユンボ)のアタッチメントとして装着する搭載型の草刈機は、ショベルから取り出した油圧で動き、広い範囲の草刈を素早く安全に行うことができます。
本記事では、油圧ショベル搭載型の草刈機を選ぶ際のポイントや、種類による特徴について解説します。
目次
油圧ショベル搭載型草刈機の活用事例
油圧ショベル搭載型の草刈機は
- 造成地
- 耕作放棄地
- 水田や畑の畦道
- 山林
- 河川敷
- 道路脇や中央分離帯
など、さまざまな場所で活用されています。
油圧ショベルの旋回やアームの自由な動きによって、平面だけでなく、土手のような法面でも草刈を行うことができます。
過去には、震災で被害を受けた地域において、伸びきった草木の伐採に使用されました。
近年では、ソーラーパネルを設置するために土地を更地にする際にも、油圧ショベル搭載型の草刈機が使用されています。
刈り取り方式の種類
油圧ショベル搭載型の草刈機は、刈り取り方式によって4つの種類があります。
- ハンマーナイフモア式
- ロータリーモア式
- 円形草刈刃式
- ヘッジトリマー式
ハンマーナイフモア式
ハンマーナイフモア式は、草や木の枝を、ハンマーのように叩いて粉砕するタイプの草刈機です。
モアと呼ばれるボックス内に入り込んだ草木を、縦回転するY字形の刃(ハンマーナイフ)が叩き切る仕組みです。
叩き切る力が強いため、細い竹や硬い草でも、粉々に粉砕することができます。
細かく粉砕された草は土に還りやすいため、刈草を回収する必要がない現場などに向いています。
ロータリーモア式
ロータリーモア式は、ハンマーナイフモアと同じく、ナイフが草や木の枝を刈り取るタイプの草刈機です。
ハンマーナイフモアとの違いは、ハンマーの回転する方向にあります。
ハンマーナイフモアでは地面に対して縦方向に回転しますが、ロータリーモアは水平方向に回転します。
ハンマーナイフモアに比べて根元から刈り取ることができませんが、パーツの点数が少なく、メンテナンスのコストが抑えられるというメリットがあります。
円形草刈刃式
円形草刈刃式は、刃のついた円盤を回転させて草を刈るタイプの草刈機です。
刃のギザギザの数が多いほど硬い草向きとなっており、ギザギザの数が少ないほど、柔らかい草向きになります。
刃の先端に超硬チップが取り付けてあるものをチップソーと呼び、雑木や竹など、硬い木でも切断できるものもあります。
刈り取る対象によって草刈刃を取り替えることができるため、汎用性の高い草刈機と言えます。
ヘッジトリマー式
ヘッジトリマー式は、一直線上に並んだ刃が往復運動することで、草を刈り取るタイプの草刈機です。
回転方式ではないため飛び石が少なく、つる草の巻きつきもないので、作業が中断されにくい特徴があります。
枝が太すぎる場合は使えませんが、草を粉砕しないため、刈草の回収がしやすいというメリットがあります。
また、刈幅に対して本体重量が軽いため、より小型のバックホーに取り付けて使用することができます。
搭載型草刈機の選び方
刈り取りできる草木
草刈機を選ぶ際の最も重要なポイントは、「よく刈り取る草木の種類」を明確にすることです。
柔らかい草なのか、竹や硬い草などの雑木なのかによって、選ぶべき草刈機のタイプが変わります。
使用現場や用途に合わせて、最適なものを選びましょう。
背が低く、柔らかい草など
ブタクサ、セイタカアワダチソウ、シナダレスズメガヤ、ススキは、堤防の土手や、道路脇、荒れ地などによく見られる雑草です。
このような雑草は硬い茎を持たないため、どのタイプの草刈機でも簡単に刈り取ることができます。
竹など、硬く太い茎をもつ低木
矢竹、ヤツデなどの低木は、硬くて太い茎を持っています。
竹や硬くて太い茎を持つ低木は、ハンマーナイフモア、円形草刈刃(チップソー)タイプの草刈機で、スムーズに刈り取ることができます。
油圧ショベルのサイズ
油圧ショベルの大きさによって、適した草刈機のクラスも変わります。
クラスの違う草刈機を選んでしまうと、作動油の流量不足で動作が遅くなったり、逆に過大流量になって壊れる原因になります。
なお、ショベルから油圧を取り出す際には、ブレーカー配管、もしくは共用配管が必要です。
作業環境
交通量の多い道路付近や、住宅地付近で作業をする場合、飛び石に注意が必要です。
油圧草刈機は手持ち式の草刈機よりハイパワーであるため、小さな石でも窓ガラスを割るほどの威力となります。
飛び石によるリスクが高い現場では、石飛散ガードを付けるなどの配慮をしましょう。
刈草の処理
刈り取った後の草をそのままにしていいか、集めて処分する必要があるかは、現場によって違います。
集めて処分する場合は、ヘッジトリマーで刈ると束になって集めやすく、後処理が楽になります。
そのまま放っておく場合は、ハンマーナイフモアなどで草を粉々に粉砕しておくと、自然と土に還りやすくなります。
本体価格やランニングコスト
ハンマーナイフモア式の草刈機は、対応できる草木が多く高性能なのが魅力ですが、そのぶん価格も高い傾向があります。一方ヘッジトリマー式は、幹の太い木の刈り取りには適しませんが、値段が安い傾向にあります。
他にも、部品交換にかかる費用、燃料コストなど、長期的にかかる費用もトータルで考慮する必要があります。
丸善工業の油圧式草刈機の特徴
ロータリーモア式草刈機|GC-300F-1
GC-300F-1は、ロータリーモア式の草刈機です。
フリー刃により切れ味が良く、柔らかい草から硬い草まで伐採可能なため、造成地・休耕地・河川敷などで活躍しています。
また、プライオリティバルブ
を内蔵しているため回転が常に安定しており、操作性が快適になっています。
Vベルトの3本掛けにより負荷を分散しており、テンションの張りをスプリングで一定にしているので、高い耐久性があります。
総重量が180kg程度で軽量なため、バックホーの腕を伸ばしてもバランスを崩しにくく、安全に作業を行うことができます。
円形草刈刃式草刈機|GC-600-1
GC-600-1は、円形草刈刃式の油圧草刈機です。
標準の草刈刃(刃数40枚)の他に3種類あり、様々な草に対応することができます。
刈刃の付け替えによって、雑木や竹などの硬い木だけでなく柔らかい草も対応できるため、様々な現場で作業することができます。
ヘッジトリマー式草刈機|GC-1000 / GC-1500
GC-1000/GC-1500は、ヘッジトリマー式の油圧式草刈機です。
直径40mmの枝まで剪定可能なので、草刈だけでなく、樹木の不要な枝の剪定にも使うことができます。
ヘッジトリマー式は飛び石の発生が少なく、住宅地や道路脇など、安全性が重視される現場に適しています。
また、草を粉砕しないので刈り終えた草の回収がしやすく、現場によっては作業時間を短縮することができます。
GC-1500は、1.5mと長い刈幅を持っていますが、1.5tの小型バックホーに取り付けることができるため、草を効率よく刈ることができます
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